「働く意味がわからなくなったあなたへ|旅で見つけた答え」

「なんのために働いているんだろう」

ふと、そんな思いが頭をよぎることはありませんか。

毎日同じ時間に起きて、満員電車に揺られて、会議に出て、メールを返して、気づけば夜。
週末が来ても、疲れを取るだけで終わってしまう。

「このまま続けていて、いいんだろうか」

そう思っているのは、あなただけではありません。

目次

「働く意味がわからない」は、あなただけじゃない

私はキャリアコンサルタントとして、20年以上、働く人たちの内面に向き合ってきました。

その中で、何度も聞いてきた言葉があります。

「働く意味がわからない。」

仕事にも慣れて、ある程度のポジションを得て、周りからは「順調」に見える。
でも、本人の心の中では、何かがずっと引っかかっている。

「これが私のやりたかったことだっけ?」
「あと何年、これを続けるんだろう」

真面目に働いてきた人ほど、この問いにぶつかりやすい。
言われたことをきちんとやってきたからこそ、「自分は本当は何がしたいのか」を考える余裕がなかった。

だから、ある日突然、わからなくなる。

私も31歳で「わからなくなった」

偉そうに書いていますが、私自身も経験者です。

31歳のとき、10年続けた仕事を辞めました。

辞めた理由は、いくつもありました。
でも、一番大きかったのは、「このまま続ける意味がわからなくなった」こと。

自分が大切にしてきた価値観が、職場では通用しない。
真剣に向き合っても、軽く扱われる。
「私が間違っているのかな」と、だんだん自信がなくなっていきました。

辞めた後、これからどうキャリアを積んでいけばいいのか、まったく見えませんでした。仕事へ行かなくてよくなったのに、全く気持ちは晴れず鬱々としていました。

そんなとき、ひょんな流れで旅に出ることになりました。

その旅で、私は気づいたのです。
自分が本当に大切にしていることは何か。働くうえで譲れない価値観は何か。

答えは、どこか遠くにあったわけではありませんでした。
自分の中に、ずっとあった。ただ、日常の中では見えなくなっていただけでした。

(この体験については「旅で「整う」とは?私たちが考えるウェルネス旅行」でも触れています。)

旅が「働く意味」を見つけるきっかけになる理由

なぜ旅に出ると、自分のことが見えてくるのか。

キャリアコンサルタントとしての知見と、自分自身の経験から、3つの理由があると考えています。

1. 日常から物理的に離れる

毎日同じ場所、同じ人、同じルーティン。
その中にいると、自分が何を感じているのか、麻痺してきます。

旅に出ると、見える景色が変わる。
聞こえる音が変わる。会う人が変わる。

その変化が、眠っていた感覚を動かしてくれます。

心理学では、これを「心理的デタッチメント」と呼びます。仕事から精神的に離れることで、心身が回復するという考え方です。ドイツの心理学者ゾンネンターク博士らの研究によると、仕事外の時間にしっかり「離れる」ことができた人は、人生満足度が高く、ストレス症状も少ないことがわかっています。

2.「当たり前」が揺さぶられる

旅先では、自分の「フツウ」が通用しないことがあります。

地方の温泉宿で、時間がゆっくり流れているのを感じたとき。
都会では当たり前だった「効率」や「スピード」が、急にどうでもよくなる瞬間がある。

「私は何をそんなに急いでいたんだろう?」

その揺さぶりが、自分を見つめ直すきっかけになります。

コロンビア大学のギャリンスキー教授らの研究では、いつもと違う環境に身を置くことで「認知的柔軟性」が高まることが示されています。簡単に言えば、固まった考え方がほぐれて、新しい視点で物事を見られるようになるということ。旅先で「あれ、なんで私はこう思い込んでいたんだろう」と気づく瞬間は、この認知的柔軟性が働いている証拠かもしれません。

3. 自分の価値観が浮かび上がる

旅先では、小さな選択の連続です。

どこに行くか。何を食べるか。どのくらい歩くか。
誰かに合わせる必要がなければ、すべて自分で決める。

すると、自分が何を心地よいと感じるのか、何を大切にしているのか、少しずつ見えてきます。

日常では埋もれていた「自分らしさ」が、旅先では輪郭を持ち始める。

大旅行じゃなくていい

ここまで読んで、「でも長期の旅行なんて無理」と思った方もいるかもしれません。

大丈夫です。海外に行く必要も、何週間も休む必要もありません。

週末1泊の温泉旅行でも、日帰りで自然の中を歩くだけでも、効果はあります。

大切なのは、「余白」をつくること。

予定を詰め込まない。スマホを見る時間を減らす。
ぼんやり考え事ができる時間を、意識的につくる。

その余白の中で、ふと、自分の内側と向き合う瞬間が訪れます。

実際、複数の研究をまとめたメタ分析では、休暇がウェルビーイング(心身の健康や幸福感)に良い影響を与えることが確認されています。しかも、長期の旅行より、短くても定期的に休暇を取る方が効果的だという結果も。週末1泊の旅でも、十分に意味があるのです。

近場でいい。短くていい。
まずは、日常から少しだけ離れてみる。それだけで十分です。

旅に出る前に、試してほしいこと

「働く意味がわからない」と感じているとき、いきなり仕事を辞める必要はありません。

まずは、旅に出る前に、自分に問いかけてみてください。

3つの質問

1. 仕事で「これだけは嫌だ」と思うことは何ですか?

やりたいことより、嫌なことの方が見つけやすい。
「嫌だ」の裏側に、あなたが大切にしている価値観が隠れています。

2. 最後に「楽しい」と思ったのは、いつ、何をしていたときですか?

思い出せないなら、それ自体が一つのサインです。
小さなことでもいいので、探してみてください。

3. もし何の制約もなかったら、明日何をしますか?

お金も時間も気にしなくていいとしたら。
その答えに、あなたが本当に求めているものが見えるかもしれません。

答えがすぐに出なくても、大丈夫です。

この質問を頭の片隅に置いて、旅に出てみてください。
景色を眺めながら、温泉に浸かりながら、森の中を歩きながら。

何かが浮かんでくるかもしれないし、浮かんでこないかもしれない。
それでもいいのです。

「考える時間をつくった」こと自体に、意味があります。

「逃げ」じゃない。「整える」ための旅

「仕事がつらいから旅行に行く」というと、「逃げている」と感じる人もいるかもしれません。

でも、私はそうは思いません。

心身が疲れているとき、無理に頑張り続けても、いい判断はできない。
視野が狭くなって、選択肢が見えなくなる。

一度立ち止まって、自分を整える。
それは逃げではなく、次に進むための準備です。

私自身、あの旅がなかったら、今の人生はなかったと思っています。

迷いが消えたわけではありませんでした。
でも、「何を守り、何を手放すか」を決めるための”ものさし”が手に入った。

その後の大きな決断を、迷わず選べたのは、自分を整える時間を持てたからです。

答えは、自分の中にある

「働く意味」は、誰かに教えてもらうものではありません。

本やセミナーで「これが正解」と言われても、腑に落ちないことがある。
それは、答えが自分の外にはないからです。

答えは、自分の中にある。

ただ、日常の忙しさの中で、見えなくなっているだけ。

旅は、その「見えなくなっていたもの」を、もう一度見えるようにしてくれる時間です。

「働く意味がわからない」と感じているなら、まずは少しだけ、日常から離れてみてください。

近場でいい。短くていい。
自分と向き合う余白を、意識的につくってみてください。

あなたの中にある答えが、きっと見えてきます。

参考文献

本記事で参照した研究・文献をご紹介します。

  • Sonnentag, S., & Fritz, C. (2015). Recovery from job stress: The stressor-detachment model as an integrative framework. Journal of Organizational Behavior, 36(S1), S72-S103. https://doi.org/10.1002/job.1924
  • Maddux, W. W., & Galinsky, A. D. (2009). Cultural borders and mental barriers: The relationship between living abroad and creativity. Journal of Personality and Social Psychology, 96(5), 1047-1061. https://doi.org/10.1037/a0014861
  • de Bloom, J., Kompier, M., Geurts, S., de Weerth, C., Taris, T., & Sonnentag, S. (2009). Do we recover from vacation? Meta-analysis of vacation effects on health and well-being. Journal of Occupational Health, 51(1), 13-25. https://doi.org/10.1539/joh.K8004
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